自己基盤(パーソナル・ファウンデーション)の10の柱の6番目「基準を引き上げる(Raise your Standards)」について体験談とともにお話しします。
「基準」とはどんなものだと思いますか?
基準というとイメージが付きにくいので、私は「自分のスタンダード」と言い換えてみます。
私は子供の頃からピアノを習っています。
もろもろの事情でピアノの道に進むことはできませんでしたが、大好きなことに変わりないので、先生に言われたとおりハノン、ツェルニー、バッハ、古典・ロマン派以降の作曲家と、4曲携えてレッスンに通っていました。先生に言われた練習曲をこなし「素人にしては弾ける方」というのが自分のスタンダードでしたが、どこか卑屈な考えだとは感じていました。そして就職して忙しくなってくると練習時間は短くなっていました。
ある日、声楽科出身の友人と練習した時、私は友人の求める音が出せなかったんです。音大出てるわけではないので仕方ないと思いましたが、友人は「音大出ていなくても出来るよ」と言うのです。今や東大出身や医大生が国際コンクールに出ている時代なので当たり前の考えかもしれませんが、私は子供の頃から専門的に学んだ音大卒でないと素敵な音は出ないと思っていましたので、そう決めつけていた自分にショックを受けたのと、純粋にびっくりしました。
「音楽的で素敵な音で弾けるようになりたい!」と私が自分のスタンダードを上げることを決意した瞬間でした。
自分のスタンダードを持ち、それを自分の望むところまで上げていく。
そこから、先生を探したりレッスン方法を模索したり、色々工夫もしましたが、それよりも毎日気持ちよく練習できる環境を整えることが私には重要でした。
仕事から帰って手を洗って最初に向かうのがピアノ。これを実践するために私に必要なことは、帰宅時にピアノの置いてあるリビングがきれいであることでした。今までの生活では、仕事から帰宅してピアノを弾く前にやることは整理整頓や掃除でした。整理整頓が嫌いな私はすぐに気持ちが萎えてきて練習する気力がなくなり、そうしている間に夕食の支度の時間が迫ってきて練習しない日が増える—という流れでした。
そこで朝仕事に行く前の10分。自分との小さな約束事を決めました。
・ダイニングテーブル、リビングテーブル、キッチン、洗面の掃除整頓
・床の掃除はルンバを導入
・ルンバの届かないところ用に、軽くて扱いやすいマキタのスティック掃除機を導入し、掃除のスピードアップを図る
・トイレ掃除
・(パートナーは猫の世話)
これを実践してからピアノを弾く時間が増え、気に入った音が少し出せるようになりましたが、それに加えて帰宅した時にきれいなリビングであることが嬉しく、自分が誇らしく、自己信頼が高まっているのを感じました。
自分がありたい姿(スタンダードが上がった自分)のために、自分との小さな約束事を守ると自己信頼も高まるという体験談でした。
