毎月月経が始まると痛み止めを服用し布団に入る…。
このような痛みは、軽度の月経痛とは言えません。軽度の月経痛は、日常生活にほとんど支障をきたさず、鎮痛剤を服用しなくても普段どおりの生活ができる程度の痛みを指します。一方、日常生活に支障をきたすほどの強い痛みは、月経困難症と呼ばれます。
月経困難症には、原因が明らかでない機能性月経困難症と、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が原因となる器質性月経困難症があります。特に、子宮内膜症は月経痛や不妊症の原因となる非常に一般的な婦人科疾患で、生殖年齢の女性の約10%が罹患しています。 月経を重ねるごとに痛みが増していきます。
この子宮内膜症が卵巣に発生すると「チョコレート嚢胞(卵巣子宮内膜症性嚢胞)」と呼ばれます。このチョコレート嚢胞の罹患者のうち、0.72%が卵巣がんを発症すると報告されています。特に、40代以降になると悪性化のリスクが高まることが指摘されています。
また、子宮内膜症患者の30~50%が不妊症であり、不妊症患者の25~50%に子宮内膜症が認められています。
そして痛み止めでは子宮内膜症進行を遅らせることはできません。
月経痛はあって当たり前ではないと私は思っています。
私が学生の頃は、月経痛には痛み止めやお腹を温める以外の治療はありませんでした。日本では2008年に低用量ピルが、2020年に黄体ホルモンの一種であるジエノゲストが月経困難症の治療に保険が適応されるようになりました。このように月経痛の生活の質への影響が注目され、治療の選択肢が多様化されてきたのはつい最近のことです。
まずは婦人科の診察を受けることが大切です。中高生など内診が心配な方もいらっしゃるかもしれませんが、複数の産婦人科医に確認いたしましたところ、受診したら必ず内診があるわけではありませんし、学生さんの生理やPMSの相談であれば内診は不要なことがほとんどです。
治療の選択肢の一つとして漢方治療もあります。漢方養生うらら香は婦人科と連携した漢方相談も行っております。
お気軽にご相談ください。
参考:日本産婦人科医会HP
