①月経痛はないのが当たり前 月経困難症 思春期編 ←今日はココです。
②正常な月経とは? 〜経血量チェック〜
③異常な月経とは?
④月経前症候群(PMS)とは?
・私の月経痛とPMS治療の体験談(低用量ピル編)
・私の月経痛とPMS治療の体験談②(性成熟期と漢方薬編)
⑤月経痛とPMSの西洋治療と漢方治療について
皆さん、こんにちは!
今日は女性のライフステージの思春期に寄り添いたい薬剤師、吉田沙耶香です。
衝撃的な見出しに驚いたあなた!→私もです!
中国伝統医学を勉強するまでは知りませんでしたので、とってもとっても共感します!
(中国伝統医学では正常な状態は、月経痛がないこと。西洋医学では月経痛はない〜軽度です)
生理痛は当たり前だと思っている?→私はそうでした!
最後に月経困難症のチェック表を付けました。ご活用いただけたら嬉しいです。
月経痛は異常事態です!
これから私の学生時代の経験を具体的に紹介しながら月経困難症をご紹介します。
女の子をもつお父様お母様、思春期の女性が身近にいる方にも一例としてお読みいただけたらと思います。
月経痛がある世界はどのようなものでどのような学生生活でしょうか。
“月経困難症は月経に随伴して起こる病的症状で、月経時あるいは月経直前より始まる強い下腹部痛や腰痛を主症状として、下腹痛、腰痛、腹部膨満感、嘔気、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、イライラ、下痢および憂うつの順に多くみられる。”(日本産婦人科学会HPより引用)
思春期の弊害
月経困難症、月経痛と書いてあってもそれが学生生活において具体的にどんな弊害があるでしょう?
私は中学時代から月経痛があるのが普通でした。
中学時代は剣道部でしたので、月経中の激しい運動に貧血を起こすこともあり、内科に受診して鉄剤を飲んでいた時期もありました。月経周期が安定しておらず、早めに月経が来てしまうと立ちくらみを起こすこともありました。子供ながらに、「月経は普通にあるもの、私だけが辛いんじゃない。これで部活の練習できないのは甘えだ!」と思っていました。実際に学校に行くのが辛い、眠い、宿題をやりたくない。なんだかだるくて勉強もはかどらない。剣道の大会前にはストレスで月経が乱れるなど辛かったです。このように部活も勉強も辛い期間が毎月ありました。
高校時代は月経痛がかなり辛くなり、養生としてホッカイロや毛糸のパンツでお腹を温めたりしていましたが、とうとう保健室で休むようになりました。月経の悩みを友人と話すようになり、心配した友人が授業のノートのコピーをさせてくれました。そのおかげで勉強はなんとかついていっていました。それでもやはり勉強の問題は大きいと感じていました。月経数日前から眠い、腰痛がある、だるい、月経が始まるとお腹が痛くてベッドでお腹を抱えて横になっている、このような状態が毎月あるんです。
母もさすがに心配に思ったのでしょう。ある日、叔父の親友が院長をしている婦人科クリニックに連れて行ってくれました。知っている先生なら内診をしなくても良いと考えたそうです。内診はなく、よく効く坐薬の痛み止めをくださいました(現在は西洋薬・漢方薬どちらも他に治療法があります)。それだけでも劇的に生活は変わりました。以来保健室への滞在は1ヶ月に30分になりました。しかし痛みは取れても、月経前の眠気、お腹の張り、だるさが改善するわけではありませんでした。月経前症候群(PMS)は痛み止めでは改善しないんです。
あなたの子供の頃はどうでしたでしょうか?
お子さんはどうでしょうか?
婦人科への受診は躊躇する思春期の女性やそのご家族も多いと思いますが、思春期の患者さんの場合症状によっては内診しないこともあります。受付で相談してみてください。また、漢方カウンセリングも承ります。
一般的に思春期の月経において、初経から数年間は周期が乱れがちです。正常な月経周期は25~38日とされていますが、24日以内に来る「頻発月経」や39日以上来ない「稀発月経」になるケースも珍しくありません。一時的な月経不順は思春期にはよくあることですが、長く続くようでしたらまれに病気が潜んでいる場合もあるので婦人科に相談しましょう。
思春期の月経困難症は、原因となる病気が見当たらない『機能性月経困難症』がほとんどです。
しかし、月経痛が重い状態が続くと、将来的に子宮内膜症のリスクが高いことが報告されています。子宮内膜症があると不妊のリスクが上がったり、卵巣嚢腫が大きくなると卵巣がんになるリスクも上がることがわかっています。
そうです、私はこの後この道を進んでいくのです。(②へつづく。)
親御さんの世代は「月経痛は我慢するもの」と考える方が多いかもしれません、しかし月経痛は我慢するものでも、当たり前のものでもありません。しかるべき治療が早い時期から大切だと私は当事者としてお伝えしたいと思いました。

月経困難症の不調に気付くチェック表
- □おなかや下腹部が痛い
- □生理のたびに鎮痛剤が欠かせない(毎回2日以上、服用している)
- □腰痛が起こる
- □生理のとき以外にも、腰痛や下腹部痛を自覚することがある
- □だるさや疲労感がある
- □頭痛がある
- □嘔吐、吐き気がある
- □貧血気味になる
- □排尿回数が増える
- □生理期間ではないのに不正出血がある
- □生理の出血量が多い(昼用のナプキン1枚で、1時間もたない)
- □生理でレバー状の大きな塊が出る
- □なかなか妊娠しない
- □排尿時や性交時に痛みがある
生活の中で支障が出ているかチェック
- □生理の時に仕事・学校・家事が辛い
- □頭がぼーっとする
- □寝込んでしまう
チェックして、当てはまるところがありましたらケアしていきましょう。
参考文献
日本産婦人科学会HP
日本産婦人科医会HP
Treloar SA, et al. Am J Obstet Gynecol. 2010; 202(6) : 534. e1-6
Hum Reprod. 2016; 31(7) : 1475-1482
Int J Gynecol Cancer. 2007; 17(1) : 37-43